いつもの場所に向かった先に見えるのは恭。

椎葉先輩だった。

いつもと同じベンチに寝転んで額に腕を置いてるその姿からは何も想像出来ない。


今日言われた事が次々と頭の中を過るけど、未だに何も分かんなくて。


「…今日も悪いな」


あたしに気付いた恭はそうポツリとそう呟く。


「いえ、大丈夫です」


足を進めていつものフェンス前。

見下ろす街並みが、何だか今日はいつもと違って見えた。


とても綺麗とは思えない街並み。

心の中と被っているのか、綺麗…とは思えなかった。


「…つか、なに?」


不意に聞こえた恭の声。


「え?」


思わず振り向いた先に見えた恭は身体を起してた。


「いつもと違くね?」

「そう…ですか?」

「ああ」

「あー…、ちょっと疲れてるのかも知れないですね。あ、ほら…学校って結構疲れません?」

「……」


表情を緩くしたあたしに、恭は少しだけ眉を顰めた。