「じゃあ、若菜ちゃんこそ教えてよ。何で一緒に居たの?もしかして前から知ってたの?知り合い?友達?それか…付き合ってるとか?」
「まさか、」
思わず俯いていた顔を上げる。
美奈子は眉を寄せ、あたしにジッと見つめた。
「じゃあ、何で?椎葉先輩と口を交わすなんて夢の事。そう皆が言ってる人。だから、若菜ちゃんが一緒に居る所を見た時、正直驚いた。夢かと、思った。…それくらいの人」
「へー…」
あの人がね。
そうには見えないけど。
「だから教えてよ」
「教えるも何も、ほんと何もないもん。たまたま会っただけ」
「たまたま…ね」
「……」
美奈子は少し疑問に思いながら少し首を傾けた。
だって、何をどう言うの?
ほんとに、たまたまだし。
「…椎葉先輩の噂はあんまりよくないよ。だから、あまり言いたくない。若菜ちゃんが傷つくだけだよ」
そう言った美奈子は眉を下げ、少し視線を落とす。
あたしが傷つく?
何で?
でも、アオも言ってた。
最後にあたしが傷つくって。
だけど。