「なに?…アオ」
「だからな、若菜。あの人は椎葉グループの息子」
「椎葉グループの息子?」
「だからすげぇ金持ちって事。俺らとは住む世界が違う。それに噂だって、よくねーし」
「…でも、アオの噂もよくないでしょ?」
アオだって、いろんな噂流れてんじゃん。
なのに、何で?
「いや、だからな。俺と比べられても困る。ただ、恭さんと関わらねーほうがいい」
「……」
「マジで。最後に傷つくのお前だかんな」
「……」
「マジ、やめろよ。俺からの忠告」
そう言ったアオは、どうしようもないと言った顔つきで、あたしに背を向けて歩き出した。
“俺からの忠告”
アオの言った言葉が頭を駆け巡る。
確かに、アオの言ってる事は正しいんだと思う。
今まで色んな事があったけど、アオが言ってた事は全て正しかった。
だけど、でも。
あの人をそー言う目では見れない自分が居る。
金持ちの息子。
住む世界が違う。
そう言ったアオの言葉がグルグルと頭の中を回って、午後の授業なんて頭の片隅にも入ってなかった。