「おいっ、若菜」
昼休みが始まってすぐの事だった。
自動販売機から遠ざかろううとするあたしの前でアオが表情を崩したまま身構えてた。
「あー…、アオ」
「ちょっと、来い」
そう言ったアオはよろしくない表情。
グイグイあたしの腕を引っ張るアオに思わず眉間に皺を寄せた。
「ちょっ、アオ痛いって!」
力強く引っ張るアオは、人気の居ない渡り廊下で足を止める。
解放されたに視線を落としながら腕を擦った。
「お前、恭さんと居たって、マジ?」
なんとなく言われるのを分かってた様な気がした。
アオに情報がいくのは物凄い早いから。
顔が広い分、いくらだって情報が舞い込む。
「だったら、何?」
「マジかよ…」
小さく呟いたアオは、深くため息を吐き出し茶色に染めた髪を乱暴に掻いた。
「あのな、若菜…」
一旦言葉を継ぐんだアオは、顔をしかめたまま更に口を開く。
「恭さんと、どー言う関係なんだ?」
「どうって、別に何もないよ」
「あのな、若菜。…恭さんが、どー言う人か知ってんのか?」
「どうって…」
「やっぱ知らねぇのかよ」
そう言ったアオは、更に溜め息を吐き出した。