ほんと、どうでもいい様な事をダラダラと話す担任から逃げ出したあたしの足は気がつけば学校の校門を潜ってた。
言われた後にこんな行動をとっちゃうと、また後で散々言われるんだろうなって、そう思ったけど、今から引き返す訳にもいかない。
今日はそう言う気分じゃない。
そして何気なくたどり着いた場所は古びたビルの屋上。
7階から見渡せるこの街並みは気分を和らげてくれる様な気がして、いつも気づけばここに居てる場所。
透き通る風に街並み。
5月の風は気持がよくて、もうすぐで梅雨の季節がやってくるとは思えないほどの晴天だった。
360度、見渡せるこの空間が好き。
グルっと一週見渡すその途中で、ふとあたしの視線が止まる。
「…居た」
カシャッとフェンスの音を立ててしがみ付く先に見えるのは、もう一つのビル。
大通りを挟んでそびえ立つビルの屋上。
ここからでも良く見える。
ベンチの上で寝転がってる彼の存在が。
絶対いつも居る。
初めてあたしがここに現われてからずっと居る彼の存在。
はっきりした顔も、名前も、歳も何も知らない彼の存在。
だから気になって仕方がなかった。