「あー…、なんかあちこち痛てぇ…」
伸びをしながら顔を顰める恭は欠伸をする。
「ご、ごめん…」
「うん?」
「だから寝ちゃって、ゴメン…」
「別に…俺も寝てたし」
「あ、うん」
「お前、帰んねぇの?」
そう言いながら立ちあがった恭に視線を上げる。
それと同時に見える空はもう暗く染まっていて。
「あ、あぁ…帰る、けど」
「けど?」
首を傾げる恭に素早く、首を振り立ちあがった。
「なんでもない」
少し乱れた制服のスカートを叩きながら、帰ろうか、どうしようか悩んでた。
叩き終わって、視線を上げると、光り輝く街並みが見える。
…退屈だった、1日がまた今日も終わっていく。
そう、いつもは思うけど、そう思わなかった今日を不思議に感じた。
「行くけど、」
不意に聞こえた声に視線を向けると、階段の前で恭はあたしを見てた。
「あ、うん。…行って、いいよ」
未だフェンス前に立ちつくすあたしは、恭に向かってそう投げ掛ける。
そんなあたしに恭は何も言わずにあたしの前から姿を消し、恭が階段を降りる足音が、耳に伝わる。
その、音を耳にしながらもう一度、あたしのその場にしゃがみ込んだ。