「何ですか?」
職員室に入って、資料を整理している担任に、面倒くさそうに口を開く。
「あ、あぁ。花城(はなしろ)」
振り返った先生は動かしていた手を止め、フーっと一息吐いた。
「あのな、花城。ちょっと最近サボリすぎだぞ」
続けて言葉を吐き出した先生は顔を顰めながらため息をつく。
「あー…」
その事ですか。と思いながら視線を少し落とす。
「あー…じゃないぞ。もっと真面目に来ないと進路にひびくぞ。進路どころか卒業だって危ういぞ」
「ですね」
「花城、お前なぁ…人ごとだと思ってねぇか?もう3年なんだぞ、もっとちゃんと―――…」
「はい、分かってます」
「分かってるのなら真面目に来い。お母さんに迷惑かけるなよ」
は?…とでも言いたくなる様な言葉にウンザリする。
何も知らねぇで、よく言えたもんだ。
でも、そう思うのも仕方ない事。
昔っからそう。
担任の前だけはいい様に自分を作る母があたしは好きじゃない。
母はあたしを必要とはしていないから。