暫く眺めてしまったスマホに眉を寄せる。
躊躇った挙げ句、一息吐き捨ててスマホを耳に当てた。
「…あ、出た」
さっきまでとは裏腹のアオの声。
「なにそれ…」
「いや、出ねぇと思ったから」
「……」
「お前さ、」
「ごめん、アオ…」
アオの言葉を遮って、あたしは謝罪を述べる。
さっきは、誰も悪くないって、分かってるから。
あたしが、いけなかったって、そう思うから。
なのに。
「いや、そうじゃなくて。お前が俺に謝る必要はねぇけど…」
「……」
電話口からアオの溜め息が聞こえる。
「ほら、美奈子ちゃんだっけ?…には謝れよ。すげぇ落ち込んでたぞ」
「……」
「お前の言い分も分かるし、俺が悪いってのも分かっけど。…大丈夫か、若菜?」
そう言ったアオの言葉に少しの笑みが漏れる。
やっぱ、アオらしい。
「何に大丈夫って言ってんのか、分かんない」
そう言って、もう一度クスクスと笑みを漏らした。
「あー、いや、うん、いつものお前だな」
「いつもの、って何?」
「いや、何でもねぇよ。じゃあな、それだけ」
「うん」
アオとの会話を終わらせた後、もう一度ベッドに倒れ込んだ。