「アンタは何であたしに構うの?」
「だって、それは…」
また美奈子は口を閉ざした。
少しの間、返事を待って見たけど、美奈子は口を開こうとはしなかった。
だから。
「…聞いたでしょ?親友に男取られたって、」
「……っ、」
「それ、ほんとだから。だから女の友達は好きじゃない」
「……」
友達って、やっぱ好きじゃない。
信用出来なくて、何の為にあるのかも分かんない。
だから美奈子の事だって、未だに信用できなくて。
いつかは、あたしを裏切るんじゃないかって、そう思う。
「どーせ、アンタも笑ってんでしょ?」
「ち、違うっ!そんな事思ってないよ?あたしはただ、若菜ちゃんが好きだから。若菜ちゃんと友達になりたいって、そう思ったから」
「そー言うのって、初めだけだから」
「違うよっ、」
少しだけ声を張り上げた美奈子の声を聞きながら、あたしは起き上がって鞄を掴んだ。
ごめん、美奈子。
美奈子はそんなんじゃないって、そう思うけど、仲良くなればなるほど、先を読んでしまう。
一人の方が楽だって、そう言い聞かせて。
誰とも関わりたくはない。
面倒なだけだから。