「…若菜ちゃんっ、」
もう一度呼んだ美奈子の顔が目の前に現われる。
その顔が悲しそうで。
「アンタ、学校は?」
視線だけ向けて見つめる美奈子を見た。
「学校はって、若菜ちゃんもじゃん」
「あたしは別にいいの」
「じゃあ、あたしも」
そう言った美奈子は少しのスペースに腰を下ろす。
「…ねぇ、若菜ちゃん。あたしの所為でゴメンね」
「何が?」
「ほら、さっき…」
そこまで言いかけた美奈子は口を閉じる。
「別にアンタの所為じゃないから」
「でも。…ねぇ、一つ聞いてい?」
「何?」
「若菜ちゃん、蒼斗くんと友達だったの?」
「…何で、聞くの?」
「あっ、いや。得に理由はないけどさ…若菜ちゃんが姿を消した後、蒼斗くんが“大丈夫?”って言って来たから」
「そう」
「若菜ちゃん、大丈夫?」
ボーっと空を見つめるあたしに、美奈子はもう一度あたしの顔を覗き込む。
大丈夫って、それはアンタでしょ?