「俺とサエコが寝たから?」

「……っ、」


レオは簡単に口を開いた。

全然、悪気もない口調で…


「てか、もうあれは過去だろ。別にサエコの事なんか好きじゃねーし」


好きじゃなくても、あの時はあたしとサエコは友達だったんだよ?

なのに、なんで?


「そー言う問題じゃないでしょ?どれだけあたしが苦しかったか分かってんの?」

「だから今度は絶対に離さないって。若菜の事、幸せにする」


そんな簡単に言わないでよ。

…そんな簡単に幸せにするなんて言わないでよ。

レオは何を根拠にそんな事言ってんの?


「ごめん、無理だよ」

「つか若菜、昔の事引きずりすぎじゃね?たかがサエコと寝たくらいで」

「…っ、」

「過去の事、思い出しても仕方ねーじゃん」


やっぱ、レオは変わった。

どうして、こんな人になったんだろうか。

あたしの好きだったレオはもうとっくにいない。


「あたし、もうレオに気持ちはないから」

「は?ちょっと来いよ」


グッと突然掴まれた腕に痛みを感じた。


「ちょっと、」


掴まれてるレオの手を反対側の手で放そうとしても、外れることはなく、縺れながら進んでいく足さえも止まらない。

グイグイと引っ張られる腕が痛い。


「ちょ、レオ離して!もうレオとは係わりたくないの!だから離してって!」

「うっせーよ、」


吐き捨てられるその言葉に恐怖感を覚える。

どこ、行くの、レオ。