恭の過去を思い出し、またそれ以上に悲しくなってしまった。


なんでこんなにも切ないんだろう。

なんでこんなにも悲しくなるんだろう。

なんで、こんなにも…


苦しいんだろうと。


そう思って、何も出来ない自分が余計に腹立たしかった。


それはきっと、恭が好きだからって、思う自分がいるから。


なんでか分んなかった。

気付くとソファーで横になっている恭にしがみ付いてた。

分からないようにと、そっと伝った涙を拭く。


「ごめん、あたし…」


言葉が詰まり、それ以上言葉が思う様に出なかった。

たった“好き”って言葉だけなのに。


「どした?」


でも恭の声を聞くと、素直に自分の言葉が言えなくて。

だけど、このままずっと塞ぎ込むのも嫌だった。


ダメだと分かっていても。

ダメだと知っていても。


これが最後でもいいと思った。


「…好きなの」

「……」

「ずっと前から好きだった。恭が好きなの…」


絞り切った声は枯れそうなぐらい小さかった。

しがみつく腕に力を入れる。


怖くて、顏を見ることも返事を聞くのも怖くて、ただただ恭の身体に顔を沈めてた。