「…え?」

「あの人、一流企業の息子でしょ?」

「え?」

「椎葉…なんつったっけ?」

「えっ!?お姉ちゃん、何で知ってんの?」


思わず大きな声をだしてしまった。

その所為でお姉ちゃんは顔を顰める。


「ほら、あそこ。路地裏にあるでしょ?バーの店…」

「……」


多分、美奈子のママの店の上の事だ。


「そこに居たからね」

「ちょ、もしかしてお姉ちゃん行ってたの?」

「学生ん時、よく行ったよ」

「もしかして家に帰んない時とかそこに居たの?」

「まぁね。なんか見た事ある顔だなーって思ってたら、そこで見てたんだわ」

「ってか、話したりとかしてた?」

「してないわよ。彼、結構浮いてたからねー…女も結構居たし」

「……」

「あんた、大丈夫なの?」

「へ?」

「付き合ってんじゃないの?」

「……」


付き合ってなんか、ない。

関係なんて分んない。


ただ一緒に居たいと思う人。


ただ、それだけ。

それ以上は望めないよ。