まだ、これからガンガンと太陽が照りつけてくる午前中。
約束時間がまだ迫ってもいない時間に、あたしはマンションを出た。
今でもたまに訪れるビルの屋上。
着いてすぐに行く視線はやっぱり真向かいのビルで。
でも、そこには恭の姿なんて全くない。
ここ最近はずっとそうだ。
朝来ても、昼来ても、夜来ても…
恭の姿なんて一度もなかった。
もう、ここには来ないんだろうか、とか。
やっぱしあたしが居るから来ないんだろうか、とか色んな事を想像する。
でも、ここに長時間はキツイ。
太陽がジリジリと肌を傷めつけるこの暑さ。
さすがのあたしも熱中症を起してしまいそうだ。
暫くしてから屋上を離れる。
そして大通りに差し掛かった時、
「…若菜っ、」
グッと肩に手を添えられた所為で必然的に身体が止まる。
驚いたことにドクンと心臓が高鳴ると同時に視線をゆっくりと振り向けた。
「…アオ」
「電話出ろよ!お前探すのに苦労したぞ。ちょっと来い」
「えっ、ちょっ、アオ…」
そのまま腕を引かれて人通りの少ない路地へと行く。