「どーせお前の事だから何でアイツに言わねーのとか思ってんだろ」
「……」
「俺だって色々考えてんだよ、ずっと…あの時から」
恭の小さな声が外の雨で聞きとりにくかった。
それほど考えてたのに何で?って、思うし。
でも恭にとっては最終的、こうするしかなかったのかな、なんて思ったりもした。
千沙さんが言ってた。
恭は寂しいんだよって…
ごめん、恭の役にたちたいけど、まだ何も知らない。
「…ごめん」
口から出た言葉はたったその言葉だけだった。
これ以上係わっちゃいけないって、そう思ってるけど。
「なんでお前が謝んの?」
「だって…」
「千沙に何言われたか知んねーけど、アイツはアイツなりに苦しんでる。幼少期からずっと一緒に居たからってのもあるけど、絶対弱音はかねーのに俺に言ってきたのは相当に辛かったんだろーな」
「……」
「客観的に見たら、俺が最低な奴だろーけど、別に俺はそれでも良かった」
「…優しい嘘」
「は?」
「千沙さんはアオに嘘ついてた。でもアオを守る為の優しい嘘。そして恭も…千沙さんの為の優しい嘘」
「さーな…」
小さく呟いた恭の横顔が何だか寂しそうだったのは気の所為だろうか。
今、アンタは何をまだ思いつめてんの?