「…若菜ちゃんっ!」
次の日、勢いよく飛び交ってきたのは美奈子の声だった。
寝てない所為かガンガン頭に響く。
「何?」
顔を顰めて頭を擦るあたしに美奈子は不安そうな顔であたしを見つめた。
「おはよっ」
「…おはよ」
「若菜ちゃん、何かあった?気分でも悪い?」
「いや、大丈夫」
「ホントに?頭痛いの?」
何度もさするあたしを見て、美奈子は顔を顰めた。
「大丈夫だって。って言うかさ、アンタ他の友達の所に行きなよ」
「他って言われても若菜ちゃんしかいないし」
そう言って少し頬を膨らませた美奈子。
「まぁ、いいや。って言うか、昨日は有り難う」
「ううん」
美奈子はさっきとは打って変わって表情を緩め、あたしを見た。
「あのケーキほんと美味しかったよ」
「ママにね、若菜ちゃんが美味しいって言ってたって言ったら店頭に出すってさ」
「そう」
「また来てねって言ってたよ」
「うん」
目の前で微笑む美奈子を見てたら友達は必要かもって、思う時がある。
だけど、裏切られた分、やっぱ心は閉じこもって誰も信じるのが嫌になった。
たとえ、こんな笑顔を振りまく美奈子でさえ、友達と呼ぶことが出来ない。
…ごめん、美奈子。