「えー、なんですか、それ。…ホスト、とか?」
グラスに氷を詰め込みながら、あたしはセナさんに聞く。
「おー、そんな感じ」
「ホストさんもこーゆー所に来るんですね」
「うーん…好きな奴が居たらって感じ」
…好きな人?
それって麗美さん?なんて思ったりもした。
「へー、そんな人居るんですね」
「居たらいいなーってな話で。俺は今度から若菜ちゃん一途だから」
頬を緩ませるセナさん。
そのセナさんがタバコを咥えるとあたしは火を近づけた。
「それってどー言う意味ですか?」
「うん?好きになる前」
「ハハっ、セナさんって口上手いですね」
「いや、上手くねーの。俺、本気しかいわねーから。だから今度から若菜ちゃん指名しよっかな」
「ありがとうございます。でも、あたしそんなに居ないんですよね、ここ」
「えー、マジ?じゃ、プライベートでもいいよ」
「デートって事ですかね?」
「うーん…そうなるかな」
暫くしてもどんどんエスカレートしていくセナさんの言葉。
ここまできたら恭の顔なんて見ることすらできなくなってた。