「で、アイツの何が聞きてーの?」
そう言いながらセナさんはタバコの箱を取り出し、そこから1本、口に咥えた。
ちらっと一瞬あたしの方を見てからタバコの火を点ける。
そんなセナさんの手元を見つめながら何て言ったらいいのか、言葉なんて上手く出せなかった。
だからだと思う。
隣に居た麗美さんが口を開いてた。
「ねぇ、椎葉くんって女遊び激しいの?」
「うん?アイツ?」
そう言いながらタバコの煙を吐き出すセナさんの口元を思わず見てしまった。
「うん、椎葉くんね」
「んー…いや真面目っしょ」
真面目…
でも。
「けどさ、あたしも周りと同じ意見だけど、椎葉くんの噂って良くないでしょ?」
「あー…まぁな」
何故かセナさんはフッと鼻で笑った。
そして。
「えっ?話ってそれ?」
セナさんは一瞬驚いた表情を見せあたしに首を傾げる。
「…いえ、それはほんの一部です」
あたしが答えると、セナさんはふーん…と言った感じで頷く。
「ま、でもアイツは周りが思ってるほど悪くねーよ」
「けど、けどさ!若菜ちゃんが見たって言うんだよ!椎葉くんが女と抱き合ってたって!」
…っ、
行き成りの麗美さんの言葉に声を失う。
あまりの突然に発した事に一瞬眩暈が起きそうだった。