「若菜ちゃん、早くっ!」
前方から不意に聞こえた声にハッとする。
駆け足で二人に近づいた頃には一軒のこじんまりとしたカフェに着いていた。
「で、話って何?」
4人掛けの席に並んで麗美さんと座る。
そのあたしの真ん前がセナさんだ。
運ばれてきたアイス珈琲をブラックのままでセナさんは口を付ける。
「……」
思わず沈黙してしまったあたしに、目の前に居るセナさんはフッと笑った。
「恭の事、気になんの?」
図星をつつかれたあたしは思わず更に口を閉ざしてしまう。
そんなあたしの隣から。
「えっ、なんで分かったのセナ」
麗美さんが驚いた様子で声を出すから咄嗟に麗美さんを見た。
「え、あたし何も言ってないよ。ただ、話があるって言っただけ」
あたしに視線を向け素早く目の前で手を振る麗美さん。
「つかよ、そんくらい分かるっつーの!むしろアンタ、麗美の店で恭と話してたじゃん」
「あっ、」
見てたんだ…
やっぱ珍しい事なのかな。
「さすがセナだね」
なんて笑ってる麗美さんは、セナさんと何の関係?