「あ、初めまして…」
あまりにも緊張した所為か声がうまく出なかった。
目の前にいるのはビシっと綺麗にスーツを着こなしたセナと言う男。
少し明るめの髪を無造作に遊ばせている男はまさしく美形と言うのだろう。
「若菜ちゃんだよ」
麗美さんがセナさんに向かって言う。
「あー、連れてくる子ってこのカワイ子ちゃん?」
「そうだよ」
…カワイ子ちゃんって、何?
笑えるんだけど。そもそも、軽そうな人だ。
「つか、初めてじゃねーじゃん」
「…はい?」
思わず声が出てしまった。
あたしは会った事ないですけど。
「あれ?麗美の店に前いたっしょ?指名度すごいんだろ?」
「そーなのっ!若菜ちゃん凄いんだよ!だからウチ来ればって言ってんのにー」
あたしの服を軽く引っ張る麗美さんは少しだけ唇を尖らせる。
「…だとさ」
そうあたしに向かって言ったセナさんはクスクス笑いながら足を進める。
その背を追っかける様に麗美さんが着いて行った。
その歩く二人の後ろ姿を見ながら、ふと思った。
まさしくキャバ嬢とホストクラブの男だろうと…