「あ、あのっ、麗美さんやっぱりあたし――…」
「着いた!ここだよ」
断ろうとしていた寸前、麗美さんのまさかの声で遮られ、思わず顔が引きつった。
目の前に見えるのはどう見てもパチンコ店。
人が出入りする瞬間に聞こえてくるウルサイ音。
「…セナ、着いたよー」
なんてスマホ片手に電話する麗美さんに、泣きそうになってしまった。
…どうしてこんな事になってんの?
あたし、間違ったかも。
麗美さんに話したのが。
キョロキョロする麗美さんとは正反対にソワソワしてくる。
しかも麗美さんと二人で立ちたくないシルエットだ。
美女の言葉がピッタリの麗美さんが眩しい。
長い髪を綺麗に巻き、バッチリ化粧に綺麗なネイル。
高いピンヒールに真っ黒なワンピース。
お嬢様とでもいいたくなるような要素。
こんな人にずっとなりたいと昔から思っていたけれど、今はなんだか麗美さんをちょい恨んでしまった。
「…おー、久しぶり」
「何言ってんのよ、一昨日会ったでしょ!」
「あー、そうだっけ」
「相変わらず、ムカツクね」
ハハッと笑う男の声と、麗美さんの会話が聞こえ、自然にあたしの視線が動いた。