「なん…で?」


思わず声が行き詰った。

ねぇ、何があったの?


「アオが昔付き合ってた彼女を恭さんが奪ったから」

「奪った…?」


あの日、恭とアオが話してた事…

でも、あたしには分かんない。


「中学ん時、アオに彼女居たの知ってる?」

「…うん、でもあたしは良く知らない」


中学と言えば、サエコとはしゃぎまくってた頃。

確かアオに彼女が居たのもその頃だ。


でも、あたしは関心すらなくて二人の事なんて全く知らなかった。


むしろ、いつ遊んでたのとか、別れたのはいつかとかなんて知らない。

気づけばあたしはアオに縋りついていた。


だから周りなんて全く知らなかったし、アオが落ち込んでいる姿さえも知らなかった。


「アオは彼女の事すげー好きだったよ?もともと恭さんの仲間のツレだったんだけどさ。でもある日、恭さんと一緒に居る所を目撃してさ、それから毎日のようだった」

「……」

「で、そのまま恭さんのほうにって感じで…」

「でも、それって彼女が恭を好きになったって事でしょ?恭が奪ったんじゃ…」

「恭さんとアオはもともとツレだったんだぜ?二人は付き合ってるって知ってんのに、…だったら普通、手なんか出さねーだろ…」


訳、分かんなかった。

恭が、そんな事するはず…