「うーん…ビリヤードとかダーツとか、そんな感じの遊び場」
「へー…」
「まぁ、常連しか来ないけどね」
「で、あそこから行けるの?」
「うん、そうそう。外からでも行けるし、そこからも行けるよ。大概この階段使う人はここで休んで行くって感じ」
「へー、そうなんだ。美奈子もよく行くの?」
「えー、行かないよ。だって溜まり場だもん。なんか怖いしさ」
「怖い?」
「まぁ、なんて言うか。そー言う人達だよ」
「へー…」
ボンヤリとこの居心地がいいこの場所でどれくらい居たのかなんて分んなかった。
出来れば、帰りたくないって思ってしまった。
だけど、時間は刻々と過ぎて行くばかりで、気がつけば19時を回ろうとする。
「美奈子、あたしそろそろ帰るね」
「あ、ごめん若菜ちゃん。そうだよね、長居させてごめんね」
「いや、そうじゃないけど、居過ぎて迷惑でしょ?」
「そんな事ないよ。まだ大丈夫だよ」
「あー…うん、でも帰るわ。お母さん、居る?」
店内を見渡したあたしは、美奈子のお母さんの存在を探す。
だけど、見つけた先のお母さんは何だか忙しそうで。
「あたし言っとくからいいよ」
あたしの事を気にしてか、美奈子はニコって微笑んだ。