次第に怖くなった。
怖くて、怖くて、声を出す事も出来なかった。
そんな事より、どこに行くんだろうって、ほうが気になって仕方がなかった。
「来いよ」
暫く経ってからだった。
そう言われる声とともに、また腕を掴まれるこの感触。
男の大きな手が、あたしの腕を強く掴んでた。
見えないまま足は進んでいく。
誰が何の為に、こんな事をしてるのかなんて分んない。
少し歩いて立ち止まると、そのままあたしをその場に座らせる。
そして目に覆われた物がスッと取られると、目の前に同じ様に屈んだ男の顔が現われた。
「……っ、」
だれ、この人。
その後ろには退屈そうに壁にもたれ掛かっている男2人。
同い年か年上かってくらいの男達。
辺りを見渡すと、とてもじゃないけど綺麗とは言えない廃墟に近いビルの中だった。
「ちょっとで終わるから、…ごめんね」
目の前でにこっと微笑んでくる男に寒気が走る。
ちょっと…って、なに?
「って言うか、あんたすげぇ美人。俺の女になんねぇ?」
そう言いながら頬を触られ顎を掴まれる。
「…いやっ、」
籠る声と同時に顔を背けるあたしに、男は力づくであたしを正面に向けた。