「今度一緒に行こうね」


そう言って、美奈子に声を掛けると、美奈子は悲しそうな瞳で微笑んだ。


「うん。…あ、蒼斗くん」


目の前に居る美奈子の視線は後ろのドアにスッと移動する。

その視線を追う様に向けると、出入り口に居るアオは顎でクイッと廊下に差した。


「ごめん、美奈子。…ちょっと」

「う、うん」


席を立ち、アオの元に近づくと、アオは何も言わずに先に足を進める。

距離が開いて行くアオの背中を見つめながら、あたしは軽く首を傾げた。


…なんか、変。

様子が違う。


変な直感が湧いたんだろうか。

アオの雰囲気が違うと感じた。


「なに、アオ…」


人気の居ない場所まで来ると、あたしは小さく口を開く。


「隠すの面倒くせーから」

「…え?」

「だから言うけど、お前さ、最近サエコとつるんでるってマジ?」

「え?」


一瞬、頭の中が真っ白になった。


…なんで、アオ。