「うん?」

「なんかあったら言ってね。聞くから」


美奈子はそう言って、ニコっと微笑む。


だからこんなに落ち込んでちゃダメだと思った。

心配なんてかけたくない。

それに心配されたくない。


ただ、あたしの自分勝手な事に…


「うん。大丈夫だから」

「……」


微笑んだものの、美奈子の目は悲しそうで。

だから、あたしは無理矢理クリームパンを口に押し込んだ。


「うわっ、これおいしーね。美奈子、どこで買ったの?」


平然を居座る様に弾けた声を出す。

内心、限界だと思いつつも、美奈子の前で落ち込むのは辞めようと思った。


「ねぇ、美奈子聞いてる?」

「…えっ、」

「だから、このパン何処で買ったのって」

「あ、…あぁ。そ、それね、えっと何処だっけ…」

「え?忘れたの?」

「え、あっ、ううん。あっ、そのパン最寄り駅の所にあるパン屋さんだよ」


そう言った美奈子の笑いは作った様にも思われる笑い。

パンなんてどうでもいい。あたしの事が気になって仕方がない様に思う。


…分かりやすいんだから。



美奈子。