サエコの変わり様にウンザリする。

この前会った時は、散々あたしの事を嫌いと言っておいてから、この変わり様。


結局はあたしじゃなくて、恭の存在。

あたしは利用されてるようなもん。


だから。

ここから一秒でも早く抜け出したいと思った。


でも、そうすることは、何かを犠牲にしなくちゃいけない。

その何かは、あたしの揺れ動いてた気持だった。


「ねー、若菜ぁー…」


甘ったるくあたしに絡んでくるサエコが嫌で仕方がない。

でも、早く帰りたくて仕方がなかった。


「…あ、この子、サエコって言うの」


自分で、何してんの?って、心の中で呟く。

結局は目の前に居る恭に、サエコを紹介してた。


だけど、恭はどうでもよさそうに眉間に皺を寄せる。

その瞳があたしに向いた時、何故かあたしは恭から視線を逸らしてた。