「うん。そうだね」
「やったー」
多分きっと、これが友達だと呼べるんだろうか。
だけど、仲良くなるにつれて、怖いと思うあたしの真相はおかしいのだろうか。
裏切られることを恐れて、これ以上先に進んじゃいけないって、心のどこかでセーブしてた。
放課後、美奈子と別れた後、どうしようか悩んだ末、あたしは久々にビルの屋上へと足を運んだ。
やっぱし、ここがあたしの唯一落ち着く場所であって、ここに1回は来ないと嫌な感じだった。
屋上に辿り着くと、フワッと風が頬を掠める。
靡く髪を手で押さえながら辺りを見渡した。
「…いない、か」
小さく呟く声は風と共に流れて行く。
だけどフェンスの前で足を止めると、ふと…あたしの視線が一角で止まった。
「…いた」
真向かいのビルのベンチに同じ様に寝転んでいる恭の姿。
久々のここからの位置で見る恭の姿に心が和らいだ。
やっぱ、この光景がいいのかも知れない。
恭がいて、あたしがいて。
同じ場所じゃないけど、何故か繋がってると、そう思った。
フェンスを背にあたしはしゃがみ込んだ。
見上げる空は相変わらず綺麗な色をしてて、流れる雲をゆっくりと見つめる。
…このまま、時間が止まればいいのに。