「わーかーなーちゃんっ、」


相変わらず弾けた声が飛び交う月曜の朝。

学校に着くなり美奈子はあたしの腕にしがみ付く。


「ちょ、止めてよ。美奈子」


ガッシリとくっついた美奈子の腕を、あたしは眉を寄せて引き離す。


「なんで?いいじゃん」

「やだよ。あたし、アンタの彼氏じゃないって言ったじゃん」

「だって、嬉しかったんだもん」

「何がよ」

「若菜ちゃんが心配してママの店に来たって事が」

「って言うか、いつの話ししてんの?」

「うーん…4日前?」

「随分経ってるけど」

「随分じゃないでしょ?それから会ってないし」


そうだった。

美奈子のお母さんが行けると言った次の日。


まだ体調が宜しくなかった美奈子は来なかった。


だから、美奈子が言った通り久々なんだけど。


「分かったから、触れるの、やめてね」


ニコっと微笑んだあたしに美奈子は頬を膨らませた。

だけど、その頬をすぐに元通りにし、


「近々ママのお店に来てよねー!ママ、待ってるから」


そう言って、ニコっと微笑んだ。