今の自分の行動が、良いのか悪いのかなんて分からないけど、恭と居ると少しだけ落ち着くと知ってしまった。

たとえ、近づく事がダメだと言われても、あたしはそれを認める事が何故か出来なかった。



「…ごめん。ありがとう」


車が停車してすぐに恭に声を掛ける。


「別に。…それよか何も食わねーの?」


2人並んで歩く夜道に恭の声が少し反響する。


「なんか、メロンでお腹いっぱいなんだよね」

「え、あれで?」

「そう」


そう言って苦笑い気味で軽くお腹を擦った。


「マジで?つか、どんな腹してんだよ。もっと食えよ。ほっせぇ身体してんのによ」

「…そんな事はないと思うけどね。ってか、恭は?食べなくて平気?」

「あー…俺は行き先で何か食う」

「あっ、もしかしてあの喫茶店の上?」

「え?…あぁ、うん」


喫茶店の上で分かったのか、恭は一瞬考え込んで頷いた。


…そっか。

あそこなんだ。


別に嫌ってわけじゃないけど、あの女の人居るんだなーなんて事をふと思ってしまった。