「なにこれっ!凄すぎるんだけど!」
歓声を思わず上げると、後ろから苦笑いの声が聞こえる。
「そこまで驚く事かよ」
「やっぱ、アンタは分かってないよホントに…。勿体ないなぁー…」
バルコニーへ出るとさっきとは打って変わって景色が真逆。
街の明かりが一面に輝きだして、まるで本当に違う世界に居るんじゃないかって、思ったくらいだ。
もの凄く遠くの灯りも導き出して、産まれて初めて見るこの夜景に胸が更に踊りだした。
「何が、勿体ないって?」
いつの間にか隣に来ていた恭は手すりに両腕を置き、街を見渡す。
「こんないい場所なのにアンタはなんで分からないのかなーって、ね」
「はぁ?」
「ううん。何でもない」
思いたったらすぐに行動って、きっとこの事。
スカートからスマホを取り出して、街に向ける。
こんなの、逃しちゃ勿体ない。
「え?撮るのかよ」
「そうだけど、何か?」
ピントを合わせてカシャッと音が鳴る。