「え、今何時?」
「八時半」
「えぇっ、うそっ!」
「嘘じゃねーし。つか、なんかあった?」
「別になんもないけど、ただ寝過ぎた事に驚いた」
「だろーな」
もう一度笑う恭は立ち上がって、カウンターキッチンへと向かう。
そしてすぐに戻って来てグラスコップを差し出した。
「飲めば?」
差し出された透明のグラスからは香り高い甘い匂いが漂う。
「ありがとう」
受け取ったグラスに口をつけると、一瞬にしてほのかな甘みの香りに包まれた。
「うわっ!なにこの紅茶、物凄く美味しい。これ好きかも」
思わず声を上げるあたしに、恭は視線をあたしに向ける。
「モンターニュブルーな」
「…え?」
モン…
モンター…?
「だからモンターニュブルー」
「モ、モンターニュブルー…?なに、それ」
「何って、それ」
「これ?」
グラスの中を覗き込む。
「そう。ストロベリーで香りづけしたやつな」
「へー…って言うか、アンタ凄いね。いつもこんなの飲んでる訳?」
そう言って、もう一度グラスに口をつける。