…――――


「…きゃっ、」


寝がえりを打った瞬間に思わず声を上げた。

左手を床につく感じで、いかにも落ちそうな態勢になる。


今のこの状況がイマイチ掴めず、態勢を整えて瞼を擦った。


「起きたか」


不意に聞こえた声に慌てて反応する。

目の前のもう一つのソファーで寝転んでた恭は起き上がり、髪を乱暴に掻き上げた。


…え、なに?


見渡す限り、どうやらあたしはソファーで眠ってたらしい。


…あれ?


だけど、記憶を探ってもソファーで寝た覚えも何もない。


「…もしかして、あたし寝てた?」


ゆっくり身体を起すと、かけてあったタオルケットに視線を向ける。


「ああ、寝てた」

「ご、ごめんっ!…って言うか、恭から寝たんだからね」

「知ってる。っつーか、別に怒ってねーし」

「あぁ…うん」


スッと身体からタオルケットを取り、畳みながら「ありがとう」と呟く。


「それにしても、お前寝過ぎ」


そう言った恭はおもしろ半分でクスクス笑った。