「あ、そうだ…」
思いたったかの様にあたしはスカートに入れていたスマホを取り出す。
画面をカメラに切り替えて、ピントを合わせた。
カシャッと秘かに響くスマホの音。
あまりにも綺麗すぎて、思わずあたしは何度も音を響かせた。
その撮った画像を見ては自分で納得する。
暫くの間、街並みを見渡した後、あたしは恭が寝ているソファーへと近づいた。
まだ、眠っている恭。
あたしはどうすんの?
なんて思いながら腰を下ろし、ソファーに背をつけた。
帰ろうか。
どうしようか。
もう一度、あのビルに戻ろうか。
それとも、もう家に帰っちゃおうか。
どの選択技をだしてもピンとくる場所はなく、あたしの身体は動こうともしない。
ここにずっと居たいって気持は、全くないけれど何故か思う様に身体が動かなかった。
チラッと見る恭の寝顔が気持ちよさそうで―――…
あたしも、ソファーにもたれ掛った。