「…ねぇ、ほんとにいらないの?」


無意識にパクパクと口に運んでいたメロンが後、わずかになってた。

振り返って、ソファーで寝転んでいる恭に視線を送ると、なんの反応すらない。


「ねぇ、聞いてる?」

「……」


再度声を掛けてみたものの、まったく口を開こうともせず…


まさか。


傍まで行ったあたしは恭の肩にそっと触れた。


「ねぇ、恭?」

「……」


軽く揺すると恭の身体が微かに揺れる。

その揺れと同時にストンと額に置いていた恭の腕が滑り落ちた。


「…嘘でしょ」


なんで寝てるの?

思わず深く息を吐き出したあたしは、眉間に皺を寄せる。


あたし居るのに、何で?

いや、そうじゃなくて、ここであたしはどうしろと言うの?


「ねぇ、ちょっと起きてよ」


もう一度軽く身体を揺らす。

だけど、なんの反応もなく恭は気持ちよさそうにスヤスヤと眠ってた。

その寝顔をジックリと見た瞬間、慌てて肩に添えていた手を離す。


…綺麗な顔。


思わず思ってしまった事に視線をスグに逸らした。