「あ、そうです。

社長のお会いできますか?」

私の質問ににこやかに微笑んだ綾野は、

私の隣に立ち、

外の景色に目をやった。

・・・

「ここからの景色は絶景でしょう?」

「ええ、そうですね・・・

心が安らぎます」


「社長も、この景色がとても好きで、

よくここから外を眺めています。

四季折々の、毎回違う景色ですから」


「そうなんですか・・・

私も見てみたいです」


「いつでもここに来ていただいて結構ですよ?

一般社員はこの階は来れませんけど、

早乙女さんなら、内緒で来ていただいても、

構いません…私から警備員には伝えときますから」


「・・・はぁ」

・・・

しばしの沈黙の後、

ようやく綾野は社長室に、

私を案内した。