「社長秘書の方が、

私なんかに何の御用ですか?

私、仕事で何か重大なミスでも?」

恐る恐る訪ねると、

綾野はクスッと笑って否定した。


「いいえ、違いますよ。

社長が、早乙女さんに社長室へ来るように

伝えてほしいと言われ、連絡しただけです」



「?!・・・」

昨日のことを思いだし、

一気に顔が青ざめる。

社長は私をどうしたいのか?

私なんかじゃなく、

ふさわしい相手を探せばいいものを、

こんなに執着されては、

困ってしまう。

・・・

「仕事の用件じゃなければいきません」

私は冷静を装って、

綾野に告げた。

・・・

「それでは困ります・・・

貴女が来ないのなら、社長直々に

宣伝部へ出向くと言っていますが」

・・・

社長はそんなこと一言も綾野に言っていなかった。

だが、断られると、都合が悪い。