《っるせぇな!!!》

机を両手のこぶしで叩きながら、楓が叫ぶ
今まで、教室を包んでいた喧騒は一気に静寂へと変わった。

皆の視線が楓へ集まる。

楓は、中年男性教師を睨みつけ、一度舌打ちしたあと、また、視線をノートへ戻した。

「あー…あっと…授業に戻るぞ」

そう一言言って、教卓の後ろへ戻り、チョークを手に取る。

それが合図だったように、教室の何人かの生徒が、静かにおしゃべりを始める。


楓への、謝罪の言葉は一言も無かった。

私も、あの喧騒を止めることは無かった。