「あー・・・鳥居。本当か?」
静かな教室の中、中年男性教師の問いかけがこだまする。
…いや、もしかしたら、こだましているように思っているだけなのかもしれない。
問いをとばされた楓は、机の上のノートにあった目線をあげて、
教卓の前へ出てきた飯田先生の眼を見つめる。
少し、睨んでいるようだった。
そして、静かに声帯を震わす。
「そうです。」
静かで、透明感のある声だった。
いつもの楓の声とは少し違う。寂しさを含んだ声色。
「お父さんや、お母さんは…?」
静寂は続く
「父も母も、第四世代です。」
飯田先生の眼が右上に泳ぐ。
「あー…それは《突然変異だ!!!》
この教室の誰かの大声が、飯田先生の言葉を遮る。