「で、その、ヒトが他の生物種までもを巻き込んで絶滅し、長い月日をかけながら、ヒトが汚染した地球を徐々に、ほんの少しずつ、浄化していった。」
社会科の飯田先生が黒板に、矢印とともに、文字を書いていく。
私はそれを見ながら、自分のノートに書き写す。
「そして、浄化された地球に再び、生命が生まれ、進化し、我々が誕生した。」
赤色のペンを筆箱からとりだし、文字を書く。
「最初に、誕生したのは…教科書32pにも書いてあるように、シュレディン大陸の…さしてヒトと変わらない第一世代」
あれ?『初』って、偏にちょん ついたっけ?黒板が遠くてよく見えないな…
「つぎに、第二世代…第三世代と続き…」
矢印をのばす。…しまった。スペースが足りない…
「今は、この教室皆第四世代だと思う。ま、先生は第三世代だがな」
「うわー!」「おっさんじゃん!」
消しゴム…あぁ。これ油性だ。
「せんせぇー!楓ちゃんは第二世代でぇーす!」
聞き覚えのある単語に、顔を上げる。
「えっまじで!?」「おっさん!おっさん!」「キモ…」
その単語が示す彼を見る。
「静かに!!」
飯田先生が、声をあげた。喧騒の中響き渡る、中年男性の太い声。