「…………」


アイレンはユリナの言葉にためらう。


「どうする?アイレン」


「ああ〜!もう分かったよ!行きゃあいいんだろ行きゃあ!!」


アイレンは頭をくしゃくしゃにしながら歩き出す。


「あ、アイレンこっちは反対方向よ」


ユリナも立ち上がり、アイレン歩き出す。










「もうすぐ出口だな…」


フィチの森の出口に近づくにつれ、段々明るくなる。


「やっぱ陽を浴びると気持ちいいわね…」


アイレンの隣でユリナは空を見上げながら言う。


「さっそくだ、どこに進むんだ?」


「どっちにしろ、フューティスに行かないといけないの」



「…そうか…なら早く行こうぜ」


アイレンの表情は少し明るくなる。


「ええ、あなたがフューティスに行くまでに…何もなければいいのだけど」


「え?」


「魔王のいる魔界へと繋ぐ力を使う場所もフューティスなの…そこであなたが力を使えば、魔界への扉が出現するの…だから…そこにたどり着くまでにあなたが死んでしまったりとか…しなければ…」


「そんなことあるわけねえだろ…てかお前、名前は?」


「え?さっき言ったじゃない」


「さっきは何がなんだか分かってなかったんだ!いいから教えろ!」


「ユリナ・ウィスディよ、これで分かった?」


ユリナは腰に手を当てながらアイレンを見る。


「あとお前なんて俺のこと知ってんだ?」


「あなたと魔王を倒すことが私の使命、だから…協力してほしいの!魔王を倒すために私は生まれてきたんだから…」