「魔王…?」


「あなたは…聞いたことがあるでしょう?昔よくお話とかに出てきた魔王が…この前…誕生したの…長い時をかけて…」



「…でも…どうして俺に?」


「…あなた…天使の羽があるでしょ?だから…お願い…その力が、今世界を救うのに必要なの!!」



ユリナはアイレンを真剣に見る。


「…………」



「アイレン…」


「嫌だね」


アイレンはあっさり言う。


「え?」


「突然どっかの誰かに世界を助けてって言われて、はいなんて答えるわけねえだろ?」


「で、でも…お願い…ここ天上界も関わってるのよ…」


「だからって俺じゃなくてもいいだろ?」


「いいえ、あなたじゃなければダメなの!」


ユリナはアイレンに触れようとする。


「なんだよお前!しつこいぞ?これでも諦めないってなら……っ」



アイレンは剣を引き抜く。


「…あなたがそんなんなら、こっちだって力ずくでもあなたに理解してもらうわ…今の世界の現状を!」


ユリナは杖を両手で横に持ち、構える。



「……っ」



アイレンとユリナはしばらく互いに睨み合う。



―この女…本気だ……―





それを見ていたひとりの女性がいた。


長い白髪の髪をして、黒いドレスを着た20歳位の女性…。


「…アイレン…あなたには悪いけど…世界のために…」


女性が祈り始めると突然ふたりの足元から巨大な黒い穴が出現する。

「な…なんだ?!」

「…穴?!人間界に落ちる穴?」

ふたりはそのまま穴の中に落ちて行き、そして穴は消えた。