「それで…ユリナは聖術師ってこと?」


「ええ…だから…普通の人とは違う生活してきたの…」


「違う生活って?」


「…例えば、学校には行かずに、家でほぼ聖術のことについて勉強させられたり…普通の女の子みたいに自分で好きな物買ったりとかできなかったの」


ユリナは自分の手をきゅっと握る。


「今でも思う…自分のお金で、自分の好きな物を買ってみたいって…1日でもいいから…普通の女の子のように暮らしてみたいって」

「やればいいじゃん」


「え?」


ユリナはきょとんとしながらアイレンを見る。


「いつかやってみれば?毎日聖術師として頑張ってるなら、たまに息抜きでもすればいいじゃん、その時は俺も付き合うよ」


「…アイレン…ありがとう…でも…魔王を倒すと私…」


「おーい!ミラトに着いたよ〜」


ユリナが何かを言おうとした時にちょうどミラトに着いてしまった。


「お〜!ミラトか!すげぇ!」


アイレンはすっかりミラトに気をとられている。


「ハァ…」


ユリナはため息をつくと、優しい目でアイレンを見た。