「ウィダル、あなた…私と逢わない間に魔王と何かあったでしょう」


アイレン達がいなくなってからリナールはウィダルに言う。


「そうだ…それがどうした」


「どうして…魔王になったのよ…どうして」


「…世界を少し良くするかわりに魔王が死んだら俺が魔王になると契約した…と言えば満足か?」


「え?」


「あの頃の俺はお前に早く逢いたかったから魔王の力を借りて世界を少しだけ良くした……ま、今はお前のことなんかちっぽけも想ってないけどな」


ウィダルはリナールの入っているガラスを押す。


「…ウィダル…あなた…たかがそんなことで魔王に…」


「全くだ…でも過去の俺と今の俺は別人だ、昔愛人だったお前だって今は世界を壊す材料だ、たっぷりと使わせてもらうぞ」


「……………っ」


リナールはショックのあまり、その場に座り込む。


「嘘でしょ…そんな…」