結局1ヶ月たっちゃって、俺はよくわかんないハゲたじじぃの所に連れてかれた。


「ハゲじじぃ言うな」


「…ハゲた、じじぃ」


ハゲたじじぃのわりには声はかっこよくて、つかフツーに20代位なんじゃないかってくらいイケボだ。


…ハゲたじじぃのくせに。


「……ハゲ。…取り敢えず。1ヶ月間この世を浮遊してみてどうだった?」


「んーと?そうだなぁ、自分が生きてた記憶はあんだけど自分の名前が思い出せない」


そうだ。
ずっと考えていたことがあった。
自分の名前。

自分の名前がどんな名前であったか、それだけを消しゴムで消されたようにわからなくなっていた。


「あと、なんか引っ掛かってる気ぃする」


思い出せない『何か』
テストの問題で度忘れしたみたいに気分が悪い。

てか苛々する。


「じゃあお前には未練がある。お前にはやらなくてはいけない事があるはずだ」


ハゲたじじぃが最後に何か言ってたけど、物凄く眠くなってハゲたじじぃなんてどうでもよくなっていた。