「俺…死んでねぇの?」

酸素マスクを取ったせいか、なんだか知らないが呼吸が苦しい。

「死んだ…?朔弥、事故起きてから2ヶ月だよ?何度も死にかけた…」

丁寧に教えてくれるれんの顔を見る。
触れるということはちゃんと生きている、ということになることだろう。

「そ…、っか…」

酸素マスクを口に戻し、ゆっくりとベッドに寝直すとれんは教えてくれた。


どうやら、轢かれたあと何度も生死の境をさ迷ったらしい。
そして、植物状態だと言われ、意識は戻らないという報告。
あと一週間もすれば家族の同意で死ぬことになっていたらしい。

だからあれは…、夢だったのだろう。

ふぅ、とゆっくり目を閉じれば静かに力が抜けていった。