「…はぁ…っ、ぁ…、ぁ……、知らない、ところ…、ぁ…」


呼吸が乱れ、喉がひゅぅひゅぅと鳴る。
知らないところだと言いたかったはずなのに吐息が混ざり自分が何を言いたいのかわからない。

「……朔弥?」

自分の手を天井の方へかざして、自分の手を見つめる。
真っ白い包帯が目に入る。

ふと聞こえた方にゆっくり首を傾ければ見慣れた姿。

なにも持たず驚いた表情で突っ立っているそいつに俺も驚く。


「…ぁ…、ぃ、れん…っ?」

頼りない自分の声に、動かない自分の身体に、苛つきながら必死に確認する。

「朔弥…、朔弥、起きたんだね?生きてるんだね?」
「いき…てる…?ぅ…、」
酸素マスクを左手で持ち、浮かせてから起き上がろうと右腕で自分の身体を支える。

自分の身体は物凄く重くて、起き上がるのを手伝ってくれるれんに頼りながら、どうにか身を起こした。