れんが首を吊り、死んだ。俺が知らないところで、静かに死んだ。
死ぬ間際、あいつは俺のことを思い出してくれたのだろうか。

…思い出してくれたら死ぬことを留まってくれたはずだよな?
なんて…考えていたらなにもやる気が起きなかった。

はぁ、と溜め息を一つついてから真っ白な部屋に戻る。
色も音もないそこは、現実とは違いすぎて怖いくらいだった。
昔、小さい頃幽霊に怖がっていたようなあの感覚、ああいう恐怖が俺に襲いかかる。

恐怖と疲労とショックでなにもやりたくない。
疲れなんて感じる肉体なんて俺はとうに捨てたのに。何故?

どんどん俺が俺に戻るような感じ。でも俺が俺に戻るなんて、今の俺が俺じゃないみたいだなぁとのんきに考える。


人が消えたら、こんなに悲しいのか。
祖母が死んだときも泣かなかったし、悲しくなかった。
泣かないことが、悲しくないことが強さだと思っていたのに。
本当は悲しいことなのだと、今祖母とれんが教えてくれているようだった。