『ねぇ、洋人。聞いてくれる?』



 「ああ」



 『私ね、ホントに本当に好きだったの。

彼が私を見てくれなくても、

それでいいと思ってたの。

いつか、少しでも私に気持ちが傾いてくれたらって、っ……っ』

 涙で視界がにじむ。


 「ああ」



 『けど、けどね、もう限界。

……どうして好きになっちゃったんだろう?』

 ああ、また洋人にこんな顔させちゃった。


 『好きで好きでたまらないのっ。

でも苦しいの。もうやめたいの。

好きでいるの、止めたいの。

この恋にピリオドを打ちたいの。

 ……洋人、言ったよね?

 待っててくれるって

 なら、なら。……っふ』


 知らないふりをして
 私は彼に残酷な刃を向ける


 『涼太君の事、忘れさせてっ

 お願いだからっ

 洋人のこと、
 
 好きになるように努力するからっ』


 でも彼は、拒否しないことを

 知っている