眠そうな目をしていたイルルが
俺を手伝い始めた。

イルルが
ちゃんと手伝うなんて珍しい。

「えっ!?イルルさんそれ違う!」

八百屋嫁の
悲鳴のような声が聞こえてきた。

なんだろう?

「イルルさん、もしかしてキャベツとレタスの区別つかないんですか?」

「うん。」

イルルが
キャベツ売り場に必死に並べていたのは
レタスだった。

仕事が早かったせいで
キャベツゾーンに
レタスとキャベツが混ざって敷き詰められている。

時々正解のキャベツを置いてある。

「…。」

八百屋嫁が無言で俺を見る。

「なんで俺を見るんですか…。」

嫌な汗が背中を伝い落ちる感触がした。

「ぽこさん、イルルさんの保護者のようなので…。」

「あーあーあー、何もキーコーエーナーイー!」

イルルだけが
何も悪いことをしていないネコのような顔で
首をかしげているのだった。